映画レビュー:Moonlight
【波の上に揺らぐ月の光は何色か】
【Amazon primeレビュー】
Amazon prime評価:星3.6
【自己採点】88点(100点中)
●意見が分かれる映画
この映画は非常に評価が分かれているようですね。
Amazon primeでもまあまあの評価です。
アメリカでは評価が高いサイトとそこそこ止まりのサイトがあるみたいです。
観る人を選ぶ作品なのかもしれません。
●映画で掲げられている要素
何故ならこの作品の中には:同性愛、差別、ドラッグ、貧困、いじめ、黒人社会という要素が含まれています。
我々日本人にはあまり馴染みのない要素ですが、主人公のシャロンの周りには当たり前に存在していました。
1つ1つの要素にこだわって目を向けていくとひょっとしたら毛嫌いする人もいるかもしれません。
そんな背景の中で“自分の生き方を決める”ためにシャロンは葛藤を続けていきます。
●ストーリー
主人公のシャロンが“少年”、“思春期”、“青年(大人)”へと成長する3部構成のストーリーの中で起こる自身のアイデンティティと周囲のシャロンに対する影響からもたらされる葛藤が、悲痛にも残酷にそしてリアルに描かれていきます。
予告でも使われていますが、この映画の音楽がまたシャロンの境遇の悲痛さを際立てて物語っています。
この映画は映像だけではなく、音の効果も強く心的描写に関わっています。
●ストーリーの根幹
シャロンの“少年期”の時代に登場するフアンというドラッグディラーの男がいるのですが、シャロンはネグレクト気味の母親の代りに、実は面倒見の良いフアンを一時期頼る事になります。
そんなある日フアンがシャロンを初めて海に連れて行くのですが、その時にフアンはシャロンに大切な話をします。
それは“誰しもが自分の色を持っている”、そしてシャロンもいつか“自分で自分の生き方を決める時が来る”。
僕としてはこれがこの映画の主要なテーマなのではないかと思います。
そして3部構成のそれぞれに登場する“海”とシャロンの心模様を対比させながら語られているように感じられました。
映画の最後には自分の心を開き、生き方の方向を決め、生命の原始である海原へと航海を始めます。
●個人的な感想
『Moonlight』は好きな映画に入ります。
大事な事は1つ1つの要素に捉われるのではなく、そんな要素を背景にシャロンが自身の心を見つけていく人生の旅路全体に目を向けるということです。
でも映画に登場する描写や挿入歌などの全てが何を意味しているかと問われると、細かくは説明できない部分もありますが、
それでも“伝える”というよりは“物語る”という言葉の方が合っている映画だと思います。
本当に言葉や海との対比が綺麗な映画で心に残るシーンが沢山ありました。
また時々観たいと思います。