映画レビュー:タイタンズを忘れない
【スポーツは人を繋げる。どんな隔たりがあろうとも。不可能だと思ったら、タイタンズを思い出せばいい。】
【個人採点】94点(100点中)
『タイタンズを忘れない』は個人的には、
TOP 3に入る名作スポーツ映画。
(ひょっとしたら1位かもしれない)
初めてこの映画を観たのは高校生の時でした。
(恐らくは15年くらい前??)
それからずっとずっと好きな映画です。
ストーリー
ストーリーはWikipediaなどにも書いてありますが、舞台は1970年代のアメリカバージニア州。
まだまだ差別の意識が人種間に隔たりとして社会に強く根付いていた頃に、とある高校アメリカンフットボールチームが起こした奇跡の物語を描いています。
しかもこれは何がすごいかと言うと実話に基づく作品なんです!
この頃のアメリカ
映画にも描かれていますが、この頃はちょうど公民権運動の流れから白人と黒人が社会的に融合を図る時代に移り変わろうとしているタイミングでした。
法としては施工されても、実際に暮らしている人たちの心には依然として偏見が残っていました。
特に白人と黒人が同じ学舎に足を運ぶということは、多くの白人たちにとって侮辱的と感じられるほどの怒りがそこには存在していました。
“One Team”への道
そんな時代の中、T.C.ウィリアムズ高校では公民権法の影響の下、白人と黒人が混合したアメリカンフットボールチーム(通常タイタンズ)が設立されます。
しかもそのチームのヘッドコーチとして抜擢されたのは黒人のハーマン・ブーン(デンゼル・ワシントン)で、それまでいた白人のヘッドコーチのビル・ヨースト(ウィル・パットン)は屈辱的にもアシスタントコーチに降格されてしまいます。
選手間、そしてコーチ間の中に大きなわだかまりを残したまま始まったこのタイタンズですが、間に沢山の衝突を経て、少しずつ人種間の隔たりが崩れ、最後には1つのチームとして成熟していきます。
そして次々とチームが試合で勝利を続けるうちに、その奇跡はチーム内からチームの家族、学校、地元の町へと広がっていきました。
最近では日本ラグビーの“One Team”という言葉が話題になりましたが、映画『タイタンズを忘れない』では、若者たちが誰からも教わる事なく、自分たちの力で勝利を掴み取る事によって“One Team”を体現する事になります。
しかも全米2位まで勝ち進んで行ったという事実は奇跡としかいいようがありません!!!!(あの広大なアメリカの高校選手権で全米2位は凄すぎます!)
リアルさもある映画
この映画の凄いところはらただの美化された感動話を伝えるだけではなく、リアルな反応もしっかりと取り上げています。
白人と黒人が融合したチームで互いに理解し合えたチームメイトもいれば、最後まで理解できずに抜けていったチームメイトもいます。
また融合するきっかけとなった合宿から、再び学校生活に戻ればやってくる人種差別の日常。
さらにはタイタンズの快進撃に対して、少しずつ奇跡や可能性を信じるようになった大人たちもいれば、相変わらず嫌悪を態度で示してくる人たちがいるという事実。
全てが夢物語のようにうまくいくわけではないですが、それでもこの時のタイタンズは行動で人種間の融合を示してくれたんです!それだけは事実なんです!
実はあの人が出演!
この映画には当時も有名だったデンゼル・ワシントンが出演していた他、この時はまだ無名に近かった若かりしライアン・ゴズリングが高校生役として出演しています!!
ライアン・ゴズリングの役の男の子も最初は偏見を持ってタイタンズに参加しましたが、彼は黒人の音楽に興味をもって、そこから黒人のチームメイトに対して段々心を開くようになっていきます。(こんな心を開くきっかけもリアルな要素ですよね)
あと話がちょっとそれますが、主人公のブーンコーチは、人種間の隔たりとか関係なく、普通に鬼コーチですwww
暴力を振るうとかはないですが、今の日本の部活だったらありえない言動がチラホラあります😅
個人的名シーン
日本で暮らしていると人種間の隔たりなんて間近で感じることなんて滅多にないと思いますが、僕が10年前にアメリカの大学にいた頃にも、まだそこには見えない隔たりがありました。それは肌で感じるほどリアルに経験しました。
ひょっとしたらまだまだ時間がかかるかもしれません。ひょっとしたらもう実現できないのかもしれません。そう思うとやり場のない気持ちが込み上げてきます。
それでもタイタンズを忘れない限り、ひょっとしたらいつかそんな隔たりがなく、お互いに敬意を持って生きていく事ができるかもしれませ
最後に僕が個人的に好きなシーンがYouTubeにあったので紹介します。
実はこのシーン本当に好きで、気持ちを奮い立たせたいときによく観ています💪
(YouTubeなんで動画が削除されてしまったらすいません)
ちなみに英語版で申し訳ないんですが、説明するとこれはタイタンズの合宿中、まだ生徒間で人種の対立が続いている中、ブーンコーチが選手たちを連れて合宿地のゲティスバーグにある南北戦争の戦地跡地に訪れます。
そこでは奴隷解放を巡ってアメリカ人同士が血を流しあった決戦の場所でした。
ブーンコーチは「ここの死から学ぶんだ。今ここでチームが1つにならなければ、私達はまた同じ事を繰り返す。悪意や憎しみが同じアメリカ人同士を、家族を、兄弟を滅ぼした。」と強く選手を諭します。
「お互いを好きになるかどうかなんてどうでもいい。ただお互いを尊重しなくてはならない。」
それは今の時代になっても必要とされる言葉です。
実はこの映画は英語版を昔から持っていたのですが、どうしても嫁ちゃんと観たかったので改めて日本語版を購入しました。
だけどこの名作映画は日本語版ブルーレイがどこ探してもない!!DVDですら無くて、しょうがないからBOOKOFFで見つけて購入しました。
ひょっとしたらこういうテーマはあまり日本ではピンとこないからなのかもしれませんが、観ると改めて人の可能性やスポーツの可能性を信じたくなる、とても勇気の出る映画です。
この先もちょこちょこ観ていくと思います。