映画レビュー:ダークナイト・ライジング
【真のヒーローは誰の中にもある】
【個人採点】78点(100点中)
●ダークナイトシリーズの完結編!
地に落ちたバットマンの名声。しかし、それでも街を救う為、バットマンは再び立ち上がる!
今回はベイン(トム・ハーディー)が最大の敵として登場。
●ヒース・レジャーの喪失感
ダークナイト・ライジングの上映は、予告が出始めた頃からずっと楽しみにしてたんですけど、心の奥底ではやっぱりヒース・レジャーの喪失感がありました。もうあのジョーカーには会えないんだって思うとちょっと悲しくなってしまいましたね。
●アメリカの情勢を反映
大まかな話としては、悪役のベインがリーグ・オブ・シャドウを引き連れてゴッサムの街を占領してしまい、それにバットマンと有志で集まったゴードン率いる警察官達が立ち向かうという感じですかね。
ベイン、ひいてはその裏にいる影の存在に、街の人々、特に富裕層以外の中級〜下級階級にいる人々が魅了され、何も知らずにいつのまにか街の崩壊に加担してしまいます。
この当時は、アメリカで『1%ラリー』という、1%の富裕層がアメリカの富を牛耳っている事に怒った市民がデモを行うという事がおきました。
ほんの少し前にはリーマンショックのような出来事もありましたし、そんな実際にアメリカで起きている出来事が映画の背景として描かれています。
その分リアルに人々が感じる感情が映画の世界観にそのまま映し出され、観ているとどんどん没入していきます。
そこで苦境に立たされながらも最後まで街を見捨てなかったバットマンに、救われた気持ちを持った人もいるかもしれません。
●残った2人
過去のダークナイトシリーズを通して、バットマンは様々なものを失いました。
お父さん、お母さん、恋人レイチェル、ハービー・デント。
そしてこの映画でもずっと一緒にいた執事のアルフレッドまでブルースの前からいなくなってしまいます。
そして最後まで街を救うために立ち続けていたのはバットマンとゴッサム市警のジム・ゴードンの2人だけでした。
(ルーシャスはあくまでサポート役)
爆発寸前の爆弾を積んだ乗り物“バット”に乗って安全なところまで運ぼうとするバットマンに、声をかけるゴードン。その2人のやりとりは感動しました。
両親を失って失意のどん底に落ちていたブルース少年を一番最初に救ってくれたのがゴードン刑事の優しさでした。
その時に感じたヒーロー像があったからこそ、バットマンは最後まで諦めずに街を守ろうとしたのかもしれません。
『ヒーローはどこにでもいる。傷ついた少年の肩にコートを着せ、これが世界の終わりではない、と励ます男のように。』
バットマン・ビギンズとダークナイト・ライジングは繋がりが沢山あるんですが、この2人のやりとりが最後に来るというのはグッとくるものがありますね〜😭😭
●そして伝説は続く
ダークナイト・シリーズはこれで終わりとなりますが、
バットマンの物語はこの先も色々な形で進んでいきます。
なので有終の美ということではなく、あくまでもその先があるように終わらなければいけないお約束があります。
個人的にはちょっと物足りない感じがそこにはしてしまいましたね。
ベインのキャラクターや映画の背景にあるテーマなどは深く、映像も壮大でしたが、過去の2作と比べると、例えばアルフレッドがいなくなる流れなどは無理やり感があってあんまり好めない部分もありました。
何はともあれ完結したダークナイト・シリーズ。